【インタビュー】島でサバゲー!「シマサバ~佐久島上陸作戦~」を指揮した男たち

周りを海に囲まれた、島というサバゲーマー憧れのシチュエーションで心ゆくまでサバゲー! そんな夢を実現させてくれたイベント「シマサバ~佐久島上陸作戦~」が2014年11月23日に開催された。主催は愛知県西尾市の「新文化創造制作委員会」、後援が西尾市であることはすでにお伝えしたとおり。そこで今回は、島サバゲーというドリームを叶えてくれた主催者にインタビュー!

西尾市議会議員の松井晋一郎さん、西尾市新文化制作委員会委員長の大島晋栄さん、株式会社N.P.C.ent代表取締役の下村秀樹さんの3人が「シマサバ~佐久島上陸作戦~」を企画したのは、ちょうど1年前。なぜ、彼らはサバゲー企画を考えたのか? そこには遠大な計画があった!?


右:西尾市議会議員の松井晋一郎さん
中央:西尾市新文化制作委員会委員長の大島晋栄さん
左:株式会社N.P.C.ent代表取締役の下村秀樹さん

―― 「シマサバ~佐久島上陸作戦~」大盛況でしたね!
下村秀樹 おかげさまで盛り上がりました! 天気にも恵まれましたね。インターネットでチケットの販売を行ったのですが、売り切れまで5分とかからなかった。パソコンが壊れているのかな!? と思ったくらいです(笑)。

―― なぜ、島でサバゲーを開催しようと思われたんですか?
下村 「シマサバ~佐久島上陸作戦~」はサバゲーだけではなくて、コスプレ企画も併催しています。コスプレだけ、痛車だけ、という企画も考えられないわけではありませんが、その両ジャンルは一般化している部分がありますよね。そこから一歩、先を進まないと注目されない。そこでサバゲーに至りました。

サバゲーとコスプレイベントの同時開催。

―― 佐久島でサバゲーイベントを開催するにあたり、どのように動かれましたか?
大島晋栄 まずは開催地となる島の人の理解を得ることです。私の娘が以前、行政が行っている「しおかぜ通学」を利用していました。本土の子どもたちを島の学校に通わせ、佐久島の自然や人に囲まれて、少人数制の学習を行うというものです。当時、「しおかぜ通学」を通して、島のみなさんとの親交も図ることができ、昔ながらの人付き合いのできるいい機会が持てました。そのため顔見知りが多いものですから、みなさんに「今度、島でサバゲーをやりたいんだけど・・・」と話をしたところ、「いいよ。サバゲー、面白いじゃないか」と言っていただいて実現に向かって動き出したんです。
松井晋一郎 イベント当日は島の人々にも参加してもらいました。サバゲー参加者には地元のみかん、焼き牡蠣、焼き餅を振る舞いましてね。喜んで食べていただきました。牡蠣が焼けると「おお!うまそう」なんて大騒ぎ(笑)。その牡蠣を焼いていたのが佐久島の「島を美しくつくる会」の会長夫妻です。若い人たちが喜んでくれるので、会長さんたちも嬉しかったそうです。事前の協議や告知もさせて頂きましたので、佐久島側の受け入れ体制は成功したと思っています。

好評だった焼き牡蠣。アツアツをその場で食べる!ウマイ!!

―― はやくも次回開催を望む声が聞こえています。
松井 今回は課題がたくさん見つかりました。まずは宿泊所と食べるところですね。島の民宿のキャパシティは180名ぐらいです。今回は参加者と宿泊可能客室数のバランスが良かったわけですが、今後、増えた場合、どうするのか。宿泊するお客さんを島と本土に振り分けないといけないかもしれない。
次に食べ物です。サバゲーに参加された方は佐久島の美味しいものを食べたいということがよくわかりました。地元の食材を集めた飲食コーナーがあってもいいし、島の食堂を紹介してもいい。今回も名物の大アサリ丼を食べに行かれた方が何人もいました。次回の開催は決まっていませんが、次があれば、そういう案内をしっかりやりたいと思っています。

佐久島名物「大アサリ丼」は食べごたえあり!

―― 改めて、西尾市がサバゲーイベントを開催するに至った背景を教えて下さい。
松井 愛知県は「愛知ぽぷかる聖地化計画」というのを進めています。特産品や伝統芸能、同行事だけでなく、新しい世界観で情報発信していこうというものです。西尾市では、昨年11月に大島さんを委員長として「西尾市新文化創造制作委員会」を立ち上げました。ここを中心にポップカルチャーの各イベントを展開していくことにしました。ポップカルチャーのなかでもさらに発信力の高いものといえばマンガです。そこで、下村さんにマンガ制作を含めた企画のご協力をいただいたわけです。
下村 私は愛知県内各地で20年間から同人誌即売会や声優イベントを運営していまして、県内ではかなり大きい規模だと思います。マンガを描くクリエイターさんの力をお借りするのはもちろん、プロモーションビデオを作る際には声優さんの力も借りなくてはいけない。そこで培ったノウハウが、今回のイベント開催にとても役立ちました。
松井 下村さんは僕らが無茶なお願いをしても、ちゃっちゃっと企画書を作成して予算計算をしてくれるんです。
下村 そんなことないですよ(笑)。ただ、マンガ作品のテーマとして“佐久島の魅力を発信し、サバゲーファンのみなさんにも楽しんでいただくためにサバゲーを置く”ことは必須でしたし、そのためにも西尾市の自然な風景や環境がそのまま、マンガに描かれています。そして、それをファンになっていただいた方が、愛着を感じていただき、西尾市に来ていただける。そんなマンガであり、今回のサバゲーイベントのようになってほしいんです。

マンガ「ニシオノ」より佐久島でのゲーム風景。

 

―― マンガ「ニシオノ」が完全オリジナル作品であることに驚きました。
下村 そこはこだわりました。他の方に権利がある作品をお借りすると、ファンには人気があるし、一般にも伝わりやすい。一方で、その後の展開に制限が出てくる。あくまで西尾市のコンテンツである、ということにこだわりました。

―― 西尾市がこのようにマンガやサバゲーに力を入れている理由を教えて下さい。
松井 今の西尾市は、2011年4月に隣接する旧幡豆郡の3町、一色町、吉良町、幡豆町を編入した形なんです。私は一色町の議員だったんですよ。石の上にも3年、といいますよね。旧西尾市と3つの町は、ひとつの市となって3年が過ぎようとしています。そろそろ不満が聞こえてくる時期なんです。地域の問題は大きくは3つあると考えます。雇用(産業振興や企業誘致)、定住化促進、少子高齢化対策です。今まで、各地域はそれぞれの事情に則した形で進めてきました。それがひとつになったわけですから、様々な意見が出てきて当然です。そして、住人には「西尾市とは何なのか?」という疑問が湧いてくるのです。

サバゲーやコスプレイベントは観光のひとつです。観光というのは、外に情報発信をしますよね。同時に、内には魅力の再確認という意味があると思います。西尾市とは何か? 外の目が入ることで、中にいる人たちが自分たちの魅力に気付かされるんです。それも、これから労働世代になろうとする若い人たちの目であることが重要です。ポップカルチャーを目的に来た外の人たちが、若い感性で西尾市を評価する。サバゲーは面白かったし、佐久島の観光もよかったよね、と思ってくれるかもしれない。住みやすそうだね、子育て支援は何をやっているんだろう、と気になるかもしれない。その評価によって「私達の西尾市はこのような都市です」と意識が内には生まれていき、行政サービスが築かれていく。西尾市がサバゲーやコスプレイベントを開催する理由は経済効果を期待している部分はもちろんあります。同時に、内部の意識改革、モチベーションの向上、そして、住んでいる私たちが西尾市を包括的に捉えられるようになることが大きな理由です。

佐久島の伝統的な家屋。塩害を防ぐためにコールタールで黒く塗られた壁が印象的だ。

―― 西尾市がどういう街になるのか。ポップカルチャーは大きな流れの中にあるということですね。
松井 そうです。今回開催したサバゲーやコスプレイベントは、参加してくださった方々にとっては西尾市の象徴のひとつになったと思うんです。西尾市はポップカルチャーを柔軟に受け入れる地域なんだと見ていただいたのではないでしょうか。それがもしかしたら新たなビジネス展開や企業進出のキッカケに繋がるかもしれません。そうした街づくりを、ひとつひとつ積み上げていきたいと思います。期待してください。

今回は中古車販売などを手がけるグッドスピードが特別協賛。車両展示やレッドブルの販売、ミリタリーウォッチのLUMINOXプレゼントなど行った。企業とのタイアップにより、新しいビジネスが生まれる可能性も大きい。

―― 今日はありがとうございました。

自治体、島民、そしてサバゲーマーが三位一体となった「シマサバ」。サバゲーを通して地域活性化という動きは、今後も広がっていくかも!? 西尾市のチャレンジに注目したい。

インタビュー・原稿 柿崎俊道
https://twitter.com/syundow

マンガ「ニシオノ」
http://www.nishiono.com/index.html

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さばなび編集部

さばなびは、サバイバルゲーム(サバゲー)を中心に、「人」にフィーチャーしたインタビュー記事やミリタリー・アクション系映画情報、アウトドアに特化したモバイルガジェット情報、ファッション情報などを扱うWebメディアです。

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