小ネタから裏話まで!「ジャンクハンター吉田のアクション映画再評価」~シルヴェスター・スタローン編 その7

紆余曲折しつつ、『ランボー』のシリーズ第4弾『ランボー 最後の戦場』は、「何をいまさらランボー?」とメジャースタジオ各社からそっぽを向かれることになり、完全にインデペンデンスな予算集めで製作することになったシルヴェスター・スタローン。
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ハリウッドの映画製作者の面々から当時話を伺ったところ、
「アメリカ国内では『ロッキー』とは違い『ランボー』ではお金を集められなかった。なぜならばミリタリー系のアクション映画ではそれなりに軍関係などと精通している大物コーディネーターや関係者を作品へ参加させるなど、余程のことがないと今の米軍は協力しない。それがスライのようなネームバリューがある俳優でも、さすがに観客のメインターゲットである10代後半~20代の若者が飛びつくような作品にならない限りは難しい」
つまり、若者が興味を抱きそうな内容だったり、リクルーティングしやすい雰囲気のある米軍のプロパガンダ的作品であれば協力してくれるし、製作費の捻出も各方面から得られるということなのですね。
嗚呼、ハリウッドでも米国の闇は相当深いようですなぁ。

そんな『ランボー 最後の戦場』ですが、スライを支持、そして支援している大国と言えばロシア。そこでVFXでの仕上げに関してはロシアのCGチームへ頼んだりして、製作費を大幅に削減できたそうです。
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結果、世界中で大ヒット。タイでのロケを中心にしたことで低予算での製作が実現できたことも功を奏し、『ロッキー・ザ・ファイナル』の時と比べて実利益は3倍以上に膨れ上がったといいます。
ノリまくったスライは『ランボー』の5作目を作るとアナウンス。しかし、5作目はSFアクションにすると公言しちゃったもんだからファンたちからバッシングを受けることに・・・。
インターネットからの誹謗中傷で5作目はもう撮らないと不貞腐れたスライでしたが、『ラスト・ブラッド ランボー』のタイトルで年齢的にもこれが本当の最終作として最後のランボー新作を今年になってアナウンスしています。
発表されているのはメキシコを舞台に麻薬カルテルとランボーが戦うという話なのですけども、どうなることやら。

『ランボー 最後の戦場』でアライアンスを組めたミレニアム・フィルムズと複数本の監督契約を交わし、スライの人脈を使って作られたのが『エクスペンダブルズ』
スライの友人知人たちの大宴会的様相な本作ですが、ジョン・ランボーのセリフから誕生した思い付きから作られてしまった冗談のような本当の出来事でした。
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一作目、二作目と大ヒットを飛ばし、三作目はもっと幅広い層に観てもらおうと、リメイク版『ロボコップ』と同じこと(レイティングを下げる=バイオレンス描写をマイルドにする)をやってしまったために若者たちからは総スカン。
大ヒットへは届かず、スライの示した方向性が失敗した形になりました。
R指定映画を極力減らしたいハリウッドの時流に乗ったことが災いしましたが、第4弾も構想があると発表済み。今度の敵はサンダー・リップスことハルク・ホーガンを予定しているとか・・・。

『エクスペンダブルズ』シリーズにスティーブン・セガールが出演しないことについていろいろと言及されてますが、特にチャック・ノリスとは犬猿の仲なので今後も出演することはないと思います。
セガールも「あのシリーズには俺の大嫌いな役者が何人か出演しているから出る気はない」とハッキリ回答していて・・・。
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ノリスとセガールは共に80年代にロサンゼルスで道場を所有していました。
一方は空手、一方は合気道で交わることはなかったのですが、当時の武道家&格闘家の世界は大変狭く、さまざまなウワサが舞い込んできたのです。
既に大スターだったノリスと違いセガールは雑草的なポジション。いかがわしい経歴だったセガールの人間的部分に共感を持てず、道場生も入門してはスグに辞める状態が続いて閑古鳥状態・・・。
セガールの道場生だった少年たちがノリスの道場で空手を学びに入門する事案がかなりあったのです。

ロサンゼルスに移住したジャン=クロード・ヴァンダムは時折ノリス道場へ顔を出したりと、実はノリスDNAの入った門下生。
『地獄のヒーロー』の現場でスタントマンを担当していたヴァンダムは身体能力の高さをノリスから大変気に入られ、キャノン・フィルムズのボス、メナハム・ゴーランとヨーラン・グローバスを紹介されて見事映画スターへの道を歩み出したという師弟関係でもあるのです。
その関係も継続していたことから『エクスペンダブルズ2』には2人で出演したりしました。
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そんなこともあり、セガールはヴァンダムのことも嫌っていて、スライから再三『エクスペンダブルズ』シリーズへの出演オファーを頂きつつも断っているわけです。
『エクスペンダブルズ3』には当初ノリス続投の話もあったのですが、早々にスライがセガールへラブコールを送ってしまったことに憤慨して出演は取りやめになりました。
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とはいいつつも、スライもノリスもお互い共和党支持者なのでプライベートでは親しいのですけどね。

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ジャンクハンター吉田

ジャンクハンター吉田
書籍『ゲームになった映画たち』シリーズ(三才ブックス、マイクロマガジン)の著者であり、ゲーム・映画のコラムニストとして活動するかたわら、体を張ったフリーのジャーナリストとして数々の無茶ぶりなオーダーもこなす。殉職したらロボコップ計画へ自分の身体をドナーとして全て提供するつもり。

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