小ネタから裏話まで!「ジャンクハンター吉田のアクション映画再評価」~シルヴェスター・スタローン編 その6

1986年からシルヴェスター・スタローンの人気は降下し、1993年まで暗黒時代が続きます。
そして『デモリションマン』『クリフハンガー』のヒットでようやく息を吹き返します。が、日本では既すでに「アクションスター=アーノルド・シュワルツェネッガー」というイメージが根付いており、スライの居場所はなくなっていて・・・。
『クリフハンガー』は東京国際映画祭で日本初お目見えの際は、東宝東和はスライをゲストで呼ばず、レニー・ハーリン監督(作品とは無関係ではあるがローラ・ダーンと交際していたことから彼女を日本へ帯同させる)を招聘するのみ。
映画の宣伝も今までとは違い、スライを前面的かつ全面的に押し出さない方針を副社長の意向で展開するはめに。
理由はスライ押しで宣伝をするとコケるというジンクスがあったから。
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しかし、東京国際映画祭の特別招待作品として渋谷・文化村オーチャードホールでかけられた『クリフハンガー』は、上映後にスタンディングオベーションが自然に巻き起こるほど大盛況。
今まで大変世話になったスライを招聘しなかったことを悔やんだ宣伝部側は、最終的に劇場公開される12月のタイミングで緊急来日させることで溜飲を下げました。

しかし、再びスライの暗黒時代が到来します。
『スペシャリスト』『ジャッジ・ドレッド』など、大作系映画が軒並みパッとしない状態が続き、作品を選んでいる余裕のなかったスライは1998年公開の『アラン・スミシー・フィルム』へ本人役で出演。『ランボー』で世話になったプロデューサー、アンドリュー・ヴァイナからの誘いだったので断れなかったそうです。
ただ・・・1000万ドルの製作費に対し、興行収入は5万ドルにも満たなかったという「映画史上最低の作品」なるレッテルを貼られてしまいます。

共演したジャッキー・チェンと親しくなり、「今『ランボー4』のプランがある。共演するのはジャッキー・チェンだ。彼とバディ系のミリタリーアクションを展開する。プロデューサーのヴァイナも了承している。きっとカンフーとミリタリーがミックスされた今まで誰も見たことのない作品になるだろう」と、マスコミへアナウンスしています。
これは個人の推測ですが、当時のジャッキーはハリウッド進出したばかりで人気がウナギ登り状態だった部分を利用してのリップサービスだったのではないでしょうか?

スライ自身、長きに渡った暗黒時代からの脱却を試みるべく、2006年に『ロッキー・ザ・ファイナル』を撮ることになります。
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金銭的にも苦境に立たされていたスライは監督・脚本・主演でできる作品はこれしかないとの判断で『ロッキー』シリーズを復活させて、自らロッキー・バルボアへトドメを刺しました。
ヒットすれば3役をこなしていることから収入的に大きいわけで、スライとしては正念場。結果、見事大ヒットとなり、その勢いで弾みが付いたままの状態で『ランボー』第4弾製作へと進み始めるのでした。

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ジャンクハンター吉田

ジャンクハンター吉田
書籍『ゲームになった映画たち』シリーズ(三才ブックス、マイクロマガジン)の著者であり、ゲーム・映画のコラムニストとして活動するかたわら、体を張ったフリーのジャーナリストとして数々の無茶ぶりなオーダーもこなす。殉職したらロボコップ計画へ自分の身体をドナーとして全て提供するつもり。

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