【連載】もと女性自衛官アヤベの「ここだけの話」その22~結婚の運とタイミング

こんにちは、アヤベです。

今回は、自衛官の気になる結婚事情についておはなしします。

いつも、男性ばかりで柵の中にいる自衛官、なかなか出会いがありません。女性隊員を除けば、女性を目にする機会がありません。唯一、見かける民間人の女性は、保険のセールスや売店のアルバイトさんくらいのもの。

所属した基地と地元が近い隊員なら、友人との交流がありますが、地元から遠く離れた基地に所属してしまうと、自分で開拓していくしかありません。シャイボーイにとってはかなりの無理ゲーなので、かつては部隊主導で合コンが行われていたこともあるんですよ。最近では、SNSで趣味のグループに入っていたことがきっかけでおつきあいが始まって、結婚にいたる、なんてことも珍しくなくなりました。

そのとき所属している基地の近くで出会った人と結婚する、というパターンが比較的多い自衛官、実はこの結婚、双方共にメリットが大きいのです。

まず、基地近傍の住民は、そもそも自衛隊への理解が深い方が多いので、反対されることが少ないです。

つぎに、なんといっても自衛官は縦社会ですから、奥さんのご両親とのつきあいもうまい! 義父さまに可愛がられて、家を建ててもらった、なんて話もときどき聞きますよ。

続いて、公務員なのでローンの認可がおりやすく、金利もちょっとだけ安いので、比較的若いうちに奥さんの実家の近くでマンションを買ったり家を建てたりすることができます。自衛隊の基地は広大な敷地が必要なので、郊外にあります。近辺の地価も、街中にくらべると安め。マンションにしても一軒家にしても、広くて環境がいいのです。なんといっても実家が近いのは、奥さんにとっても奥さんのご両親にとっても安心。身内が協力的なのは、隊員にとって心強いものです。

四国出身、北陸地方の基地で勤務するF君には、北陸で知り合って長くお付き合いしている彼女がいました。ですが、なんと沖縄への転勤が決まってしまいます。何年沖縄にいるかわからないし、戻ってこられる保証もありません。次の転勤先は北海道かもしれない……。F君は、転勤をきっかけに思い切ってプロポーズ。

まずは、北陸から出たことのない彼女に沖縄の魅力をPR! もともと旅行が好きで、南国に憧れていた彼女は、まるで旅行先を決めるかのようにあっさりOKしてしまいました。

続いて、彼女のご両親を説得します。沖縄旅行がてら、いつでも遊びにきて欲しいし、子どもができたら、小さいうちはのんびりした沖縄の自然の中で育てて、大きくなったら北陸でご両親の近くで暮らす、自分は単身赴任になってもいい、と約束しました。もちろんご両親は大喜び。

F君は、無事に北陸式の結婚式を挙げて、新婚生活を沖縄からスタートしています。ご両親も、さっそく沖縄まで遊びにきたそう。

実はこのF君、けっこうなお人よし。自分の意思を貫くために人を説得するようなタイプではありません。なぜ、こんな提案ができたのかといいますと、そのときの班長、T曹長が、20年前に全く同じ方法で結婚を決めたからなのです。長年の義実家とのおつきあいで、北陸地方の人たちの気質を理解しているT曹長、人聞きの悪い言い方をすれば、F君に「入れ知恵」したのでありました。

この結婚の一番の決め手になったのは、彼女が沖縄での暮らしに積極的だったことであります。うーん、転勤先が違う場所だったら、どんなことになっていたのでしょうか。人生って、なにがきっかけになって動きだすか、わからないものですね。

イラスト:モノ

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綾部綾

長崎出身、名古屋市在住、元航空自衛官。
ライター&プランナー。
料理と宴会幹事が趣味で、サバゲでは主に弁当、炊事、打ち上げ等の後方支援を担当。

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