小ネタから裏話まで!「ジャンクハンター吉田のアクション映画再評価」~シルヴェスター・スタローン編 その2


『デス・レース2000年』が劇場公開前から話題になったポール・バーテル監督。再び車を主軸にした『爆走! キャノンボール』の撮影を同スタッフたちが継続して撮るというので、デヴィッド・キャラダインを再度主演に撮影します。
『ブルックリンの青春』で役者を務めながら少々脚本にも参加したことで結構なギャラを頂いたシルヴェスター・スタローン(スライ)でしたが、『デス・レース2000年』直後にロジャー・コーマン以外のスポンサーから公道レース映画のオファーが来たことで『爆走! キャノンボール』の撮影に入ったバーテル監督に「ギャラは安くても構わない」と出演交渉をします。
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バーテル監督とは『デス・レース2000年』の現場でお互いが車好きの話題で親しくなっていたものの、キャスティングは既に決定しており、むりやりギャンブラーの役を作ってもらい1分程度の出演を果たします。

その後、『ロッキー』で見事大ブレイク。
このあたりの話はインターネットを探せば山ほどサクセスストーリーが出てくると思いますので端折らせて頂きます。
まぁ『ロッキー』シリーズはアクション映画なのかスポ根映画なのか・・・どちらにも触れますが、わざわざマニアックな筆者がポピュラリティーあるネタを書く必要もないと思いますので。

で、スライをアクションスター街道へと導いてくれた作品が1982年に登場。それが『ランボー』です。
1981年の刑事アクション『ナイトホークス』のくだりは若干、エディ・マーフィの項目で触れてますので敢えてこちらもスルーします。

その『ランボー』ですが、『ロッキー』シリーズしかメガヒット作のないスライは将来に対して不安を抱いてたことから、ノースタントで自分の身を削って出演しようと決意。ロッキー・バルボア役で十分自身で体張った経験があったからこその覚悟でしょう。
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1972年にディヴィッド・マレル原作『一人だけの軍隊』の映画化権をコロンビア・ピクチャーズが獲得するも、当時はベトナム帰還兵物の作品が多く作られていた時代背景もあり、さらにマーティン・スコセッシ監督で『タクシードライバー』の企画も動いていたことから(1976年に公開)コロンビアとしては作風を被らせたくない理由でワーナーブラザーズへ映画化権を売却することに。

ワーナーはまずクリント・イーストウッドへジョン・ランボー役をオファーします。が、『アウトロー』『ダーティハリー3』『ガントレット』『ダーティファイター』『アルカトラズからの脱出』と5本の作品で主演が決まってしまっていたイーストウッドにはこれ以上スケジュール的に入り込める余地もなくNGに。
同時にジェームズ・ガーナーへもオファーするが米国の警察を敵にまわす役は務めたくないとの理由でNG。
『セルピコ』『ゴッドファーザー PART II』『狼たちの午後』と人気スターへの階段を上り始めていたアル・パチーノにワーナー重役連中が興味を示しオファーするも「自分の役者としてのスタンスは沢山の映画に出演することではない。出演作は慎重に選びたい」との理由からNG。
次に『マラソンマン』の演技からダスティン・ホフマンへオファーをしたが「暴力描写の強い作品には関心がない」とこれまたNG。

あきらめたワーナーはアンドリュー・G・ヴァイナとマリオ・カサールが新しく設立した製作会社カロルコ・ピクチャーズへ権利を売却。そんなドナドナ状態だった小説『一人だけの軍隊』は、ジェフリー・ハウスホールドの『追われる男』から影響受けて書かれた物語ですが、カサールは「このままの内容で脚本を作るとハリウッドの俳優たちは皆出演を断るだろう」と提案し、作品のプロットをベトナム戦争後のアメリカの闇をえぐるような内容ではなく、負け戦だった結果を認めた上で帰還兵が追われる魂の悲痛と叫びを主軸に改変しました。

その結果、遺作となった『ハンター』の撮影終了後にスティーブ・マックイーンがプロットを読んで出演に快諾。
マックイーンは自分の死期がわかっていたことで(当然そのことは隠していたが)「早く撮影に入ってくれないか」とカサールたちへ急ぎのお願いをしていた矢先、体調が悪化し降板・・・。
その直後に逝去してしまったことから『ザ・ディープ』と『ドッグ・ソルジャー』の好演を気に入っていたカサールはニック・ノルティへオファーをしますが、「ウォルター・ヒル監督の『48時間』と恐らく撮影がぶつかるだろうから難しい」との理由でNG。
ブライアン・デ・パルマ監督からの紹介で『アーバン・カウボーイ』がヒットした直後のジョン・トラボルタにオファーするも「激しいアクション映画は自分には無理」とこれまたNG。しかし、トラボルタはカサールとヴァイナにスライを推薦し、彼らはスライと会って作品の話をしたところ「作品のプロットが大変素晴らしく是ぜひ参加したい。役者としてのギャラは少なくてもいいのでその代わり脚本に参加させてくれ」との条件で、見事シルヴェスター・スタローンにジョン・ランボー役が決定したのです。

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ジャンクハンター吉田

ジャンクハンター吉田
書籍『ゲームになった映画たち』シリーズ(三才ブックス、マイクロマガジン)の著者であり、ゲーム・映画のコラムニストとして活動するかたわら、体を張ったフリーのジャーナリストとして数々の無茶ぶりなオーダーもこなす。殉職したらロボコップ計画へ自分の身体をドナーとして全て提供するつもり。

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